2006年12月17日(日)13:14

EU首脳会議:EUは今後の新規加盟をめぐり論争

ブリュッセル(ドイツ通信社dpa)

ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟)に対し、欧州連合を危機から救い出すよう求める圧力は高まっている。ブリュッセルのEU首脳会議では多くのEU各国首脳が欧州憲法の再生を新たな拡大ラウンドと共通内政の前提条件と考えていることを表明した。

メルケル首相は来年1月1日に6ヶ月の任期でEU議長国に就任する。首相は凍結中の憲法を復活させる道、それも誰もが納得する道を見出さねばならない。

メルケル首相は大きな課題を引き受けた。「私たちはEUを一歩前進させるという野心を抱いている」。「私は多くの励ましのシグナルをもらった」、と首相は2日間の首脳会議の閉幕にあたり述べた。メルケル首相はあらためて、フランスの議長国任期の2008年末までに憲法問題の解決を図るというタイムスケジュールを強調した。フランスのジャック・シラク大統領はメルケル首相に「厄介な課題」の支援を申し出た。

EU首脳会議は将来の拡大政策に関する共同宣言に合意し、合法的な移民受け入れで打開を図ることができたものの、憲法のもとでの拡大か、憲法なしでの拡大かという原則論ではまたしてもイギリス、スカンジナビア諸国およびポーランドなどの新規加盟諸国と、ベネルクス三国、オーストリア、フランス、ドイツという二つの陣営に分かれた。EU憲法の行方はフランスとオランダの国民投票で混沌としている。

ベルギー、オランダ、ルクセンブルクは憲法の発効を今後の新規加盟の前提条件にするという提案を行なったものの、承認は得られなかった。「拡大のスピードはEUの新規加盟国受け入れ能力を考慮しなくてはならない」と首脳会議宣言に触れられるに留まった。

ルクセンブルクのジャンクロード・ユンケル首相は、現行のEU法では現在交渉中のクロアチアの加盟後の新規加盟は「考えられない」との見解を表明した。メルケル首相もEUの機構改革を行なわずに新規加盟国を受け入れることは想定できないとし、「EUの受け入れ能力という基準は確立した」と述べた。一方イギリスのトニー・ブレア首相は首脳会議宣言をむしろ加盟希望国への明確なシグナルと読んだ。「私たちは今日、今後も拡大を続けるという明確な決定を行なった。」

EUは内務および司法政策でもEU憲法同様、現在の拒否権による決定阻止を避けるため、新たな決定規則の制定が緊急に求められている。首脳会議はこの分野では合法的な移民受け入れを決定し、大きな進展を見せた。EU各国首脳は欧州委員会に対し、EUと第三国との移民規定を改正する詳細な提案を2007年6月までに行なうよう求めた。一方でEU各国首脳は、この分野では引き続き加盟国の権限を守らねばならないと強調した。

EUは今後、外国人労働者を帰国義務を伴う期限付きで受け入れる方策と手段を模索する意向である。この計画はEUの東および南東の隣国に適用され、アフリカとは2007年下半期のポルトガルの議長国任期中に共同首脳会議を開催する計画である、とEU議長を務めるフィンランドのマッティ・ヴァンハネン首相は語った。

ドイツをはじめ、いくつかの加盟国は、移民の合法化についてEUレベルで協議決定することを長いことためらってきた。「現実が加盟国を納得させたのだと思う」と欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長は語った。委員長はこの分野の25の政策はもはや時代遅れであると述べた。これより前、委員長はヨーロッパの南海岸で起きている難民の事故を踏まえ、「この計画は人命を救うだろう」と発言していた。

原題:EU streitet ueber kuenftige Beitritte




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